4 「無理はしなくていいんだよ」 「ううん、俺がしたいんだ。」 そう言って熱く脈を打つシャナ自身の先端にちゅっと軽くキスをする。 シャナ以外の誰かのものならば嫌悪しか沸かないであろうそれは シャナのものだというだけでとても愛おしく感じた。 何度かキスを繰り返し、根元から舐め上げながらソレを口の中に含んだ。 先端は既に濡れていて、いつもはシャナがしてくれるように先端のくぼみに舌先を押しつける。 「っ・・・」 シャナの口から息が漏れるのが聞こえると、 もっと気持ちよくしたくなってくる。 頭を上下に動かして扱くと粘着質な音が部屋に響いた。 一生懸命になっていると、自分の後ろの蕾にシャナが指先を押し当てて ぐりぐりと刺激を与えてきた。 「ん・・・やぁ」 舐めているだけで感じてしまっていた俺の身体は恐いほど敏感になっていた。 自分自身も立ち上がり、先走りも垂れてしまっている。 その先走りを指に掬い取り、濡れたシャナの指先が少しずつ俺の中に入ってくる。 「希・・・舐めただけでこんなに感じて、厭らしくて可愛いね。」 そう言うとシャナはぐっと俺の身体を持ち上げ、 あっという間に俺の身体を押し倒してきた。 膝を開かれ、腰も持ち上げられ、今まで指でいじっていた蕾に舌を挿し入れる。 それと同時に手の平で包まれた俺自信も上下に扱いてくる。 「んっ、あ・・・あぅ・・・」 どうしても声が漏れてしまう。このままでは果ててしまうと思ったほど 充分に舌と指で馴らされた後、 俺の唾液にまみれて厭らしく光っているシャナ自身があてがわれ、 ゾクッと身体が震えた瞬間、一気にソレが俺を貫いた。 「っく」 シャナの感じている表情を見て俺の後ろは自分でも分かるほど喜んでいた。 「のぞ、み・・・そんなに締める、な・・・っん」 「や、だってっ・・・っん気持ち・・・イ・・・」 それから何度も激しく腰を打ちつけられ 俺の頭はもう何も考えられなくなっていった。 はっと気付くとシャナの顔が目の前にあった。 どうやら眠っていたらしい。目が覚めると外は真っ暗になっていた。 シャナの穏やかな寝顔を見ていると愛おしさがこみ上げてくる。 「シャナ・・・俺、どうしよう。 貴方がこんなにも愛おしいよ・・・ ちゃんとシャナの隣に立つのに相応しくなるように俺頑張るからね。」 寝顔にそっと話しかける。 そしてユリの話を聞いてからずっと考えていた事をぽつりと漏らす。 「シャナとの子供なら・・・本当に欲しいな・・・」 「本当か?」 「え?お、起きてたの?」 寝てるとばかり思っていたシャナの眼が急に開いたので 少し驚いてしまった。 「ああ、お前より早く目が覚めていた。それより、今漏らした言葉は本心か?」 「うん。もし俺が産めるなら。 だから、お医者様の所に連れて行って欲しい。」 「もちろんだ、お前に合わせた薬を作らせよう。 早速明日の朝医師を呼ぼう。詳しい説明はその時に受ければいい。」 そして次の日の朝、早速シャナが俺の部屋に医師を呼んでくれて 薬と妊娠についての説明を受けた。 内服薬と座薬みたいな薬を使って 少しずつ身体の内側から妊娠出来る機能を作っていくんだそうだ。 そして飲み続ける期間も決められていて、 それを超えて服用してはいけないらしい。 一か月服用しても機能が出来ない場合は残念ながら諦めなければいけない。 飲み続けても適性がなく、その機能が出来ない人は出来ないものらしい。 そして1度出産した後は最低5年は期間を空けなければならない。 男性にない機能を作るのだから身体に負担がかからないわけがないという事だった。 「希、お前にとって負担になる事は事実だ。無理はしなくていいよ。」 一通りの説明を受けたあと、シャナが少し心配そうに尋ねて来た。 でも既に俺の意思は固まっていた。 「大丈夫。俺、その薬飲みます。」 あ、ちなみに・・・先生?」 「はい?」 人の良さそうな初老の医師はにこやかに俺の質問を待っている。 「その薬、俺がこの世界に来た時に飲まされたような苦い薬ですか? だったら俺、飲み続ける自信がちょっと・・・」 「大丈夫ですよ。殆ど味はしません。」 俺があからさまにほっとしたのを見て シャナが口の端を釣り上げて意地悪そうに笑った。 「大丈夫、たとえ苦くても、また私が口付けして飲ませてやる。」 それを聞いた先生は目を丸くしたあとに快活に笑い始めた。 「わははは!そうでしたか!仲が良いですなぁ! いやはや、結構結構!」 俺は急に恥ずかしくなって、隣に居るシャナの足をペシッと叩いたが シャナも先生も面白そうに笑っているだけだった。 最後に先生が教えてくれたのは、俺がこの世界に来た時に 咲いたあの花の事だった。 先生はあの花が群生し始めた事に対して俺にずっと 感謝していると言ってくれた。 「医者をしていましてもね、 どうしても患者さんを助けられない時がある。 でも、希様がこの大地に授けて下さったあの花達は間違いなくそんな 患者たちの助けになっています。 私はずっと貴方様に感謝していました。この地に貴方様が来て下さった。 貴方様は間違いなくこの国の大いなる恵み、栄華であらせられる。 私に出来ます事は何なりとご相談ください。 今回の件も何か分からない事や不安な事がありましたらいつでも私をお呼び下さい。」 俺自身は何もしていないのだが、 こうしていつもあの花の事で感謝される。 逆に申し訳なくなるくらいだ。 「ありがとうございます。 何かあったら是非相談に乗って下さい。宜しくお願いします。」 俺が頭を下げると、先生もゆっくり俺に頭を下げて微笑んでくれた。 「貴方様がシャナ王に愛される理由が、分かる気がいたしますな。」 そう言って先生は実際の薬が入った小さな袋を俺に手渡してにこやかに部屋を出て行った。 俺は手の中にあるその袋を握り締めちゃんと効果が出ればいいなと思った。 それから一週間飲み続けてみたが、 自分では何か変化があったのか分からなかった。 しかし、診察してくれた先生いわく順調に出来始めているらしい。 おへその下に少し赤くなったような線が出来ていた。 これが身体の中が順調に受け皿を作っている証拠なのだと前回説明を受けていた。 俺は、嬉しいような不安なような何とも複雑な気分になった。 適性があった事はもちろん喜ぶべきことなんだろうけど、 男の俺が妊娠出来るなんてこの世界に来て初めて知った事だったし・・・ でも、先生の話を一緒に聞いていたシャナはものすごく嬉しそうだった。 その顔を見たら何だか不安な気持ちが薄らいで 歓びの方が大きくなったきた。 「ねぇ、気が早いけどさ、もし無事に子供が出来たら シャナは男の子か女の子かどっちがいいと思う??」 「そうだな・・・ 女の子ならお前に似て欲しい。いや・・・男でもお前に似て欲しい。 どちらにしてもお前に似れば美しく優しい子だろう。」 「俺はどっちでもシャナに似た方が綺麗だと思うけど・・・」 「ではたくさん子供を作れば良い。お前に似た子も、私に似た子も・・・」 そう言うとシャナは少しかがんで俺にキスをしてきた。 何度も角度を変え、舌が深く絡みついてくる。 「ちょ・・・シャナっ・・・」 「俺に似た子が欲しいのだろ? だから、私のものをたくさん注いであげるよ」 そういって服の上から後ろを撫でてくる。 「ちょっ!“だから”の意味が分からな・・・あ・・・っん」 いつのまに、俺はこんなに快感に弱くなってしまったのだろう。 シャナに触られると、全身に電流が駆け巡るみたいになって 抗えなくなくなってしまう。 シャナが優しく服を脱がしてくれるのを俺はぼんやりと眺めながら 期待してしまうのだ。 この腕に抱かれて大きな波にさらわれてしまう事を。 それからまた日が経ち定期検査に行く予定の日が近づいて来ていた。 適性があると分かり、とりあえず安心してから1週間。 そして継続して薬を飲み続けて2週間。 今日が定期検査の日だった。 ふと気がつくとおへその下にある赤いラインが濃くなって、 少し長くなって来ていた。 診察の前に先生にその事を話すと、先生はにっこりと微笑んでくれた。 「ふむ、良い傾向にあるようですな。 その線が濃くなると準備が整って来ているサインになるのです。 希様、触診させて頂いてもよろしいですかな?」 「あ、はい。」 順調に進んでいる事が分かりほっと胸をなでおろした。 診察台に横になり、先生に診てもらうためにお腹を出す。 「・・・・・」 お腹を見せた途端に先生が押し黙ってしまった・・・ 「先生?」 「・・・希様・・・」 俺の名前を小さく呼び、先生が息を飲んだのが分かった。 「希様・・・本日、シャナ王はどちらに・・・」 「今日は執務室で書類の整理をすると言って・・・でも、 様子を見に来ると言っていたのでもうすぐ来ると思いますけど・・・」 そう話しているとガチャっと音を立て扉が開かれた。 「シャナ・・・」 「具合はどうだって?」 「それが、先生の様子がおかしいんだ・・・なにか良くない事でもあったんじゃ・・・」 俺とシャナは先生の様子を窺うように顔を覗き込んだ。 ← → novel index top |